2016年12月20日の閣議決定から5年半が経ってしまいました。。
チームパブコメは原子力損害の賠償負担金に関する質問や関連省庁へのレクチャーを重ねてて、今回の政府回答について、チームパブコメのメンバー曰く、矛盾点が明らかになる兆しとのこと◎
横文字は英数字が読み易いので置換&質問の下に回答を挿入してみました◎
この内容が全国へひろがると嬉しいな。
☆質問と回答_原子力損害の賠償負担金に関する質問主意書20220712.docx☆質問と回答_原子力損害の賠償負担金に関する質問主意書20220712.pdf
下記URLに正式な質問と回答がHTMLとPDFで掲載されてます。
令和4年6月10日提出 質問第136号
原子力損害の賠償負担金に関する質問主意書
提出者 山崎 誠
令和4年6月24日受領 答弁第136号
内閣衆質208第136号 令和4年6月24日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 細田博之 殿
衆議院議員山崎誠君提出原子力損害の賠償負担金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
原子力損害の賠償負担金に関する質問主意書
賠償負担金は、原子力損害の賠償に関する法律(以下、「原賠法」という)および原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、「支援機構」という)法に基づく電気事業法施行規則第45条の21の3(以下、「改正規則」という。)によって規定されている。
平成28年12月20日閣議決定「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(以下、「基本指針」という。)の26頁「(前略)国民全体で福島を支える観点から、福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担とし、そのために必要な託送料金の見直し等の制度整備を行う。」に基づき、改正規則では「(前略)原子力損害(原賠法第2条第2項の原子力損害)の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力事業者が平成23年3月31日以前に原価として算定することができなかったものを、一般送配電事業者が行う接続供給によって回収しようとするとき」の資金を「賠償負担金」としている。福島第一原子力発電所事故前に「原子力損害の賠償のために備えておくべきであった資金」の意味するところを含め、これらの法令等の適用、解釈、運用等を確認するため、以下質問する。
一 原子力事業者は、福島原発事故前(以下、「事故前」という。)には原賠法第6条に基づき原子力損害の損害賠償措置(備え)として、原子力損害賠償責任保険契約(以下、「責任保険」という)及び原子力損害賠償補償契約(以下、「補償契約」という)を結んでおり、それぞれ保険金及び補償金1200億円(同第7条)を原子力損害の賠償に備えた資金としていたのではないか。また、事故前に原賠法上、賠償措置額以外に原子力損害の賠償に備えた資金は他にあったのかどうか、見解を示されたい。
一について
お尋ねの「原子力損害の賠償に備えた資金としていた」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原子力事業者は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号。以下「原賠法」という。)第6条及び第7条第1項に基づき、一工場若しくは一事業所当たり又は一原子力船当たり1200億円(政令で定める原子炉の運転等については、1200億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)を原子力損害の賠償に充てることができるものとする原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結又は供託等の措置を講ずることとされている。
また、お尋ねの「事故前に原賠法上、賠償措置額以外に原子力損害の賠償に備えた資金」の意味するところが必ずしも明らかではないが、賠償措置額以外に、原子力事業者が、原子力損害の賠償に充てることができるものについて、原賠法上、特段の定めはない。
二 「改正規則」にある「原子力損害の賠償に備えておくべきであった資金」とは、原賠法でいう「損害賠償措置」であり、資金とは「賠償措置額」のことを意味するのではないか。違うとすれば、何を意味しているのか、明確に示されたい。
二について
お尋ねの「「改正規則」にある「原子力損害の賠償に備えておくべきであった資金」」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、電気事業法施行規則(平成7年通商産業省令第77号。以下「施行規則」という。)第45条の21の9第1項に規定する「賠償のために備えておくべきであった資金」についてのお尋ねであれば、原賠法に規定する賠償措置額とは異なり、万一の際の賠償の備えとして、一般負担金として東京電力福島第一原子力発電所事故前から納付しておくべきであった原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号。以下「機構法」という。)第38条に規定する負担金の一部を指すものである。
三 支援機構は、原賠法第16条に基づく事故後の「資金援助」のための組織である。
1 「資金援助」は、原賠法第7条の「賠償措置額1200億円」では足りなかった損害賠償費用の資金を援助しているのでないか。それが支援機構法第41条の「要賠償額から賠償措置額を控除した額を限度として、損害賠償の履行に充てるための資金」であり、損害賠償交付金額は「賠償措置額」の不足金額ではないのか。違うとすれば、その理由を明確に示されたい。
三の1について
お尋ねの「援助しているのではないか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、機構法第41条に規定する資金援助については、原子力事業者が損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額を超えると見込まれる場合に、当該原子力事業者による原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保に資するため、当該原子力事業者が原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)に申し込むことができる資金的な援助である。
2 改正規則の「事故前に備えておくべきであった資金」とは、賠償措置額1200億円(補償金は1889円)の備えでは足りなかった損害賠償交付金を意味するのではないか。違うとすれば、何に備えておくべき資金なのか、明確に示されたい。
3 改正規則のいう原賠法上の「事故前に備えておくべきであった資金」とは、事故前に「備えておかなかった資金」あるいは「備えておけなかった資金」となる。何故、事故前に備えておかなかったのか。あるいは備えておけなかったのか。その理由を明確に示されたい。
三の2及び3について
お尋ねの「改正規則の「事故前に備えておくべきであった資金」」、「改正規則のいう原賠法上の「事故前に備えておくべきであった資金」」及び「事故前に「備えておかなかった資金」あるいは「備えておけなかった資金」」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、施行規則第45条の21の9第1項に規定する「賠償のために備えておくべきであった資金」についてのお尋ねであれば、「賠償措置額1200億円(補償金は1889円)の備えでは足りなかった損害賠償交付金を意味する」のではなく、万一の際の賠償の備えとして、一般負担金として東京電力福島第一原子力発電所事故前から納付しておくべきであった機構法第38条に規定する負担金の一部を指すものである。
4 この資金を事故前に「備えておかなかった責任」は、誰が負うべきものと考えるか。例えば、政府、原子力事業者かが負うべきものではないか。見解を問う。少なくとも、需要家には、この資金を事故前に「備えておかなかった責任」はないと考えるが、見解を問う。責任があるという見解であれば、その理由を明確に示されたい。
三の4について
お尋ねの「責任」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
四 令和3年12月24日、当方が経済産業省(以下、「経産省」という。)より説明を受けた際、当方からの質問への回答では、改正規則にある事故前に「原子力損害の賠償のために備えておくべきであった資金(以下、「過去分」という。)」とは、全需要家の負担すべき過去分であり、資金額は3.8兆円であり、保険料及び補償料ではない、と示された。
1 右の回答に誤りはないか。誤りがあるとすれば、明確に示されたい。
四の1について
御指摘のとおり、「右の回答に誤りはない」と考えている。
2 「過去分」3.8兆円の資金は、原賠法上の保険金あるいは補償金なのか。原賠法とは関係ない資金であれば、いかなる法令に基づく資金なのか、明確に示されたい。
四の2について
お尋ねの「「過去分」3.8兆円の資金」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、施行規則に規定する「賠償のために備えておくべきであった資金」についてのお尋ねであれば、施行規則第45条の21の9第1項に規定する賠償負担金である。
3 「過去分」3.8兆円を全需要家が負担するということは、原子力事業者は「過去分3.8兆円」を回収することになる。では原子力事業者の負担する「過去分」の資金の金額はいくらか。「過去分」の資金の全額と合わせて、明確に示されたい。
4 「過去分」は需要家だけが負担するものなのか。原子力事業者の負担する「過去分」は存在するのか。その理由を含めて、明確に示されたい。
四の3及び4について
お尋ねの「「過去分」の資金の全額」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、万一の際の賠償への備えとして確保されておくべきであったが、このための制度は機構法の施行以前に存在しなかったため、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成28年12月20日閣議決定。以下「福島復興指針」という。)において必要な措置を講ずることとしたものであり、当該措置に充てられる金額は約3.8兆円である。また、お尋ねの「原子力事業者の負担する「過去分」の資金の金額」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、施行規則に規定する「賠償のために備えておくべきであった資金」のうち、原子力事業者が平成23年度から令和元年度までに納付した一般負担金についてのお尋ねであれば、その金額は約1.3兆円である。
5 事故前に原子力事業者は、原賠法上及び原子力損害賠償保険契約上の負担義務を負い、「責任保険」の保険料、「補償契約」の補償料を負担していたと考えるが相違ないか。また、それら以外に負担していたものがあれば、示されたい。また、事故前に原子力事業者に原賠法上の保険料及び補償料以外に負担義務がないとすれば、事故後に原子力事業者が、過去分3.8兆円の資金を負担しなければならない理由を明確に示されたい。
四の5について
お尋ねの「事故前に原子力事業者は、原賠法上及び原子力損害賠償保険契約上の負担義務」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、原子力事業者は、原賠法第6条に基づく損害賠償措置として、原賠法第7条に基づき原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結を行う場合については、原賠法第八条に基づき原子力損害賠償責任保険契約の保険料を支払うこと及び原賠法第10条に基づき原子力損害賠償補償契約の補償料を納付することとされている。
また、お尋ねの「事故後に原子力事業者が、過去分3.8兆円の資金を負担しなければならない理由」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、施行規則第45条の21の9第1項に規定する賠償負担金については、万一の際の賠償への備えとして確保されておくべきであったが、このための制度は機構法の施行以前に存在しなかったため、福島復興指針において必要な措置を講ずることとしたものである。
五 「基本指針」24頁には、「交付国債の償還費用の元本分は、原子力事業者の負担金を主な原資として、支援機構の利益の国庫納付により回収される。」とある。
1 事故後、原子力事業者は、保険料でも補償料でもない「過去分3.8兆円の資金」を支援機構への「一般負担金」として納付し負担している。この納付した過去分は、東電への交付金の返済金として、支援機構から全額国庫納付されている。何故、事故前の「過去分」が、事故後の支援機構の交付国債の返済金となっているのか、その理由を明確に示されたい。併せて、法令上の根拠を示されたい。
2 事故前の「過去分3.8兆円」を回収する目的は、支援機構が事故後の東電への交付金分(交付国債)の借入を返済するためか。見解を問うとともに、その目的を明確に示されたい。
3 支援機構法第38条は、原子力事業者は「機構の業務に要する費用に充てるため、機構に対し、負担金を納付しなければならない。」と規定している。この「一般負担金」で支援機構は、借入金の交付国債の返済を行っている。借入金の返済金は、「業務に要する費用」に当たるのか、その理由を含めて明確に示されたい。
五の1から3までについて
お尋ねの「支援機構の交付国債の返済金」、「事故後の東電への交付金分(交付国債)の借入を返済する」及び「借入金の交付国債の返済」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、機構法第38条の規定において、原子力事業者は、機構法第35条に規定する機構の業務に要する費用に充てるため、機構に対し、負担金を納付しなければならないとされている。
4 支援機構の借入金を「一般負担金」で返済するとすれば、交付国債の借入枠13.5兆円及び東電への投資資金1兆円などの借入金の返済も「一般負担金」で行うことを意味するのか。違うとすれば、その意味を含めて明確に示されたい。
五の4について
お尋ねの「支援機構の借入金を「一般負担金」で返済する」及び「交付国債の借入枠13.5兆円」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、お尋ねの「東電への投資資金1兆円」の「借入金の返済」については、機構が保有する東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)の株式の売却やそれにより生じる利益によって行う考えである。
六 「基本指針」23頁注12には「(前略)交付国債の発行により対応すべき費用としては、(中略)平成29年度予算において、支援機構に交付する交付国債の発行限度額(現行9兆円)を13.5兆円に引き上げる。」とある。
1 「過去分」3.8兆円とは別に、東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東電」という)以外の原子力事業者は、東電の事故後の「確保すべき資金」として損害賠償費用資金8兆円のうち3.7兆円を支援機構への「一般負担金」で分担して負担している。東電以外の原子力事業者が東電の損害賠償費用3.7兆円の資金を分担負担しなければならない理由と法的根拠を明確に示されたい。これは原賠法第4条に定める責任の集中に反すると考えるが見解を問う。また、反しないとすれば、その理由を明確に示されたい。
六の1について
機構法第38条の規定において、原子力事業者は、機構法第35条に規定する機構の業務に要する費用に充てるため、機構に対し、負担金を納付しなければならないとされている。また、全ての原子力事業者が機構に対して負担金を納付する義務を定める機構法第38条第1項の規定は、損害賠償に備えた原子力事業者の相互扶助の考えに基づいたものであるが、福島第一原子力発電所の事故による損害を賠償する直接的な責任を東京電力以外の原子力事業者に負わせるものではないことから、「原賠法第4条に定める責任の集中に反する」との御指摘は当たらないものと考える。
2 東電以外の原子力事業者の負担する損害賠償費用3.7兆円の「確保すべき資金」は、令和2年度からの「一般負担金」のうち、一年間でいくら支払うのか、その金額と、何年にわたって支払うのか、その期間を示されたい。
六の2について
お尋ねの「一年間でいくら払うのか、その金額」及び「何年にわたって支払うのか、その期間」については、現時点において決定していない。
3 「過去分3.8兆円」と東電以外の原子力事業者の負担する「損害賠償費用3.7兆円」は、意味するところは同じなのか、見解を問う。併せて、それぞれ原賠法及び支援機構法上で、どのように位置づけられているのか、明確に示されたい。
六の3について
御指摘の「過去分3.8兆円」及び「損害賠償費用3.7兆円」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮にそれぞれ「賠償負担金」と「一般負担金」についてのお尋ねであれば、「賠償負担金」は施行規則第45条の21の9第1項において、「一般負担金」は機構法38条において、それぞれ規定されているものである。
4 原賠法上の「事故前に備えておくべきであった資金(過去分)」は、事故後には原賠法上の「備えておくべき資金(将来分)」となるのではないか。原子力事業者は、「事故前の過去分」とは別に「将来の事故の備えとして」の3・8兆円を支援機構に納付しなければならないと考えるが、見解を問う。また、納付を必要としないとすれば、その理由を明確に示されたい。
六の4について
御指摘の「「事故前の過去分」とは別に「将来の事故の備えとして」の3.8兆円を支援機構に納付しなければならない」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、機構法第38条の規定において、原子力事業者は、機構法第35条に規定する機構の業務に要する費用に充てるため、機構に対し、負担金を納付しなければならないとされている。
5 将来の原子力損害事故に備えるとすれば、原賠法における賠償措置額を1200億円から、少なくとも東電の損害賠償費用として交付している金額の8兆円に見直す必要があると考えるが見解を問う。併せて見直す必要がないとすれば、その理由を明確に示されたい。
六の5について
お尋ねについては、賠償措置額について、国際水準に照らして十分高い水準であること、原子力損害賠償責任保険に係る国内外の保険市場の動向に照らして引上げが困難な状況にあること等を勘案した結果、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第90号)による原賠法改正時においては当該賠償措置額についての見直しを行わないと判断したものであるが、文部科学省を中心に、引き続き検討を行うこととしている。